営業で「聞けていない会社」に共通する課題
「ウチの営業、提案力はあるんだけどなぁ…(なんで受注は増えないのだろう⋯)」
このように嘆いている会社が意外と多くあります。
しかし、商談録音を聞くと、どの会社にも共通してだいたい同じような現象(商談)が起きています。
営業担当者がめちゃくちゃ喋ってる・・・ のです。
それも一方的に喋っているケースが多く見られます。
- 商品説明
- 事例紹介
- 機能説明
- 価格の妥当性
- 導入効果
自社の商品やサービスに関する全てを説明しています。
そして特徴的なのが、お客さんに関する話が全然出てこないという点です。
一方で、本人は「ちゃんとヒアリングしてるつもり」なことです。
「現状課題は聞きました!」
「困りごとも確認しました!」
「予算感もヒアリング済みです!」
たしかに聞いたのかもしれません。
けれども、それって「質問した」だけじゃないですか?というのが今回の論点です。
営業の成果があがらないことでお悩みの会社で、共通している点があります。
それが—— 顧客を深く理解する前に、提案に走ってしまう ことです。

なぜ営業は「話す」のに「聞けていない」のか?
提案が刺さらない会社ほど、実は「説明」に偏っている
真面目な営業担当者人ほど説明したくなるものです。 なぜなら・・・
「ちゃんと価値を伝えなきゃ」
「理解してもらわなきゃ」
「競合より優位性を示さなきゃ」
誠実故にこういった気持ちが強く、全てを漏れなく説明します。
でも、その結果どうなるのか!?
商談が会社説明会になってしまいます。
顧客:「最近、採用が難しくて…」
営業:「なるほどですね!実は弊社には採用支援機能がありまして!」
極端な例ですが、説明までのターンが早いですよね。
お客さんはまだ1ターンしか喋ってません。
にもかかわらず、営業はもうプレゼンに入ってます。
営業としては悪意はなく(むしろ善意100%)、相手が悩んでいるからこそ説明すべきと考えてのことでしょう。
善意ゆえに改善するポイントだと感じづらく、自省することが難しいと考えられます。
しかし、顧客からすると 「いや、まだそこまで話してないんだけど…」 という状態です。
つまり
「理解される前に提案されている」
状態です。
この状態での説明は顧客にとってはしんどいものです。
人は 「提案されたか」より先に「ちゃんと自身(自社)のことを分かってもらえたか」 を見ています。
だから聞けていない営業の場合は、どれだけ説明が上手でも刺さらないケースが多くなってしまいます。
むしろ、営業感が強くなって警戒されて商談が進展しないことに繋がります。
「ヒアリングしているつもり」が一番危険
営業で怖いことは「できていないこと」ではありません。
「できていると思ってしまっていること」です。
特にヒアリング。
- 現状
- 課題
- 予算
- 導入時期(+決定権者)
いわゆるBANTですが、これらを聞いたら「ヒアリング完了」と思っているケースが実際はかなり多く見られます。
BANTはあくまで顧客理解の入口です。
本当に重要なのは、BANTの背景です。
- なぜその課題が起きているのか
- なぜ今困っているのか
- なぜまだ解決できていないのか
ここを聞けるかどうかで、提案の深さが変わります。
BANTはあくまでも背景(問題点)をもとに発生している課題対策という結果です。
問題点が聞くことができていないと、テンプレ提案になってしまいます。
いやテンプレ提案をせざるをえないのです。
顧客からすれば 「なんか、どの会社も同じような話をするな・・・」 となります。
顧客は商品説明ではなく理解を求めている
顧客が営業に求めているのは「商品の勉強」ではありません。
上述した通り
「この人、ちゃんと(ウチの会社のことを)分かってくれているな」
です。
極端な話をすると、商品知識が多少足りなくても、顧客理解力が高い営業のほうが顧客からは信頼されます。
逆に、商品知識が完璧でも
「いや、こっちの話聞いてた?」
となった瞬間に信頼関係構築フェーズは終わってしまいます。
営業は説明業ではありません。理解業なのです。

「聞けていない営業組織」に共通する5つの課題
課題① ヒアリング項目が尋問リスト化している
社内、それも営業会議でありがちなやつです。
「ちゃんと決裁者聞いた?」
「予算確認した?」
「導入時期聞いた?」
すると営業は、聞くことが目的になり、顧客に対しても同じように尋ねます。
「ご予算感ってどれくらいですか?」
「導入時期っていつ頃ですか?」
「決裁フローってどんな感じですか?」
その結果、商談が事情聴取っぽくなります。
顧客からすると
「なんか詰められてるな・・・」
「売る気まんまんやん・・・」
となります。
本来ヒアリングは、情報回収ではありません。
相手を理解するための会話です。
課題② 「すぐ提案したい病」が強すぎる
営業は提案したくなる生き物です。
なぜなら相手の役に立ちたいという想いを抱える職種だからです。
しかし、焦って提案すると、大体ズレていきます。
顧客:「業務が属人化していて…」
営業:「じゃあ管理ツールですね!」
もっと踏み込まなくてはなりません。
属人化の原因は、管理の問題ではないかもしれません。
組織構造かもしれないし、評価制度かもしれない。
聞けていない営業は、症状に即提案してしまいます。
それでは顧客に響きません。
優秀な営業ほど、提案が遅いものです。
正確には提案までのヒアリングが長い(時間をかける)ものです。
中には「早く提案してくれ!」という顧客がいるかもしれませんが
代わりに深い顧客理解を得られます。
だから(それくらいのスタンスを貫いているから)提案精度が異常に高くなるのです。
課題③ 商談のゴールが受注しかない
受注だけをゴールにすると、営業は説得モードになりがちです。
そうなると聞くことが疎かになってしまいます。
頭の中が「どうクロージングするか」でいっぱいいっぱいになってしまうからです。
一方で、聞ける営業のゴールは違います。
彼ら彼女たちのゴールは「顧客理解を一段階深めること」です。
だから無理に売り込むことはしません。
その結果、顧客から本音が出てきます。
営業は、売ろうとするほど聞けなくなる。これは実際に有ることなのです。
なぜ営業担当は「聞けない状態」になるのか?
営業教育が「話法中心」になっている
営業研修では「話し方」を教えることが多いです。
- 切り返し
- クロージング
- トークスクリプト
もちろん大事です。
ところが聞き方に関しては意外と教わりません。
こういった研修を通じて教育を受けていくと、営業は「どう話すか」に意識を持っていかれます。
本当に必要なのは、上手に喋る力ではありません。
相手に興味を持つ力です。
教育コンテンツが「伝えること」「説得すること」など喋る技術に重点が置かれていると
聞けない営業を育ててしまうリスクがあります。
「沈黙=失敗」だと思っている
営業あるあるの1つに商談中の沈黙を悪やNGと捉えているケースです。
沈黙が怖い。
5秒空くと焦る。
だから喋る。埋める。説明する。
でも実は、(皆さん自身もきっとそうだと思いますが)顧客は本音を考えている時ほど沈黙します。
優秀な営業は、その間を待てます。
逆に聞けない営業は、沈黙を全部潰そうとしています。
商談で大事なのは「喋った量」ではなく「考えさせた深さ」です。
考えさせた深さを出すためにも何を聞くかが重要になるのです。
「聞ける営業」が実際にやっていること
「質問」より先に安心感を作っている
ここまで説明すると、質問をたくさんすることが大切なように見えます。
しかし、聞ける営業は、質問攻めをしません。
まず空気を作ります。
「この人なら話しても大丈夫そう」という安心感です。
安心感を醸成できないと、顧客から本音は出ません。
商談直後のアイスブレイクは安心感を作るための必要儀式です。
※ちなみに僕はアイスブレイクが超苦手です。なので安心感醸成のプロセスは不得意です。。。
顧客の言葉をすぐに(勝手に)解釈しない
顧客:「最近、現場が回らなくて…」
普通の営業:「人手不足ですね!」
聞ける営業:「回らないとは、具体的にどんな状態なのですか?」
超極端に書きましたが、聞ける聞けないの差はこんな感じです。
顧客の言葉を勝手に決めつけない、定義しない、解釈しないようにしています。
具体的、時には抽象的な質問を重ねて解像度を上げていき、顧客と同じ目線(視座)に立とうと努力します。
この積み重ねで、提案精度は大きく変わります。
顧客自身が課題に気づく流れを作っている
優秀な営業は教え込むことはしません。
顧客教育することが営業の目的の1つである・・・と営業系の著書によく書かれています
正しくは
顧客自身に気づかせる
ことが大切です。
※SPINでいう示唆質問で気付いてもらうイメージです。
人は自分で気づいたことに一番納得するからです。
顧客自身が「たしかに、それを放置すると危ないですね…」と言い始めたらだいぶ近づいてきています。
聞ける営業は、押し売り感がないのに売れるのは顧客自身で気付いてもらい
必要性を理解してもらうからなのです。

営業マネージャーが見直すべき組織課題
ロープレが説明大会になっていないか?
営業ロープレでありがちなのが「説明うまいね!」で終わってしまうことです。
でも本来、重要視すべきなのは・・・
- どこで本音を引き出したか
- どこで空気が変わったか
- どこで顧客が考え始めたか
これらです。
繰り返しになりますが
現代の営業パーソンに必要なのは話せる営業ではなく聞ける営業です。
何を話したか
ではなく
何のために何を尋ねたか
このトレーニングを反復することで顧客理解を深める技術を習得できます。
「商談録音」を聞くと組織課題が丸裸になる
平成時代から言われている手法ですが、商談録音は本当にオススメです。
もしかしたら営業会議より、商談録音を聞いていたほうが営業力はアップするかもしれません(笑)
- 誰が一番喋っているか
- 質問が浅くないか
- 遮っていないか
- 提案が早すぎないか
営業としてのスキル、テクニックが商談録音には全部出ています。
売上など数字には出てこない営業の課題は、会話に出ているはずです。
商談録音を新卒1年目から当たり前のトレーニング習慣にできている営業パーソンは
総じてレベルが高いの高い方が多いです。
まとめ|営業力の差は「話術」ではなく「理解力」
昔の営業は、話がうまい人が強かったものです。
なぜならネットがないので、顧客側が情報を持っていないからです。
情報伝達技術=営業の伝え方が商談の差別化スキルでした。
でも今は違います。
顧客は、営業を受けること以外にも動画やwebセミナーを見ています。
つまり「説明」には慣れています。
だからこそ営業として差が出るのは「どれだけ深く理解できるか」です。
聞ける営業は、売り込みません。でも選ばれます。
なぜなら顧客が「この人は、ウチのことを分かってくれてる」と感じるからです。
結局、人は「理解してくれる相手」から買います。
「ウチの営業、ちゃんと聞けてるか!?」
もし、皆さんの会社の営業成果が伸び悩んでいらっしゃるようであれば、
ぜひ一度聞ける聞けないをチェックしてみてください。
きっとそこに、次の成長のヒントがあるはずです。
よくある質問(FAQ)|営業で「聞けていない会社」に共通する課題
営業で「聞けていない状態」とは具体的にどういう状態ですか?
営業担当者が質問はしているものの、顧客の背景や本音まで理解できていない状態です。表面的な課題だけを聞いて提案を進めてしまうケースが代表例です。
顧客理解よりも商品説明が中心になっている場合も聞けていない状態といえます。
ヒアリングと質問は何が違うのでしょうか?
質問は情報を集める行為です。ヒアリングは相手を理解するための対話です。
優秀な営業は回答そのものではなく、その背景や理由まで深掘りします。
なぜ営業担当者は顧客の話を十分に聞けないのでしょうか?
商品知識や提案内容を伝えることに意識が向きすぎるためです。また、早く提案したいという心理も影響しています。
営業教育が話し方中心になっていることも大きな要因です。
顧客の本音を引き出すにはどうすればよいですか?
まずは安心して話せる雰囲気を作ることが重要です。相手の発言をすぐに解釈せず、背景や理由を確認します。
質問攻めではなく自然な会話の流れで深掘りすることが効果的です。
聞ける営業と聞けない営業の最大の違いは何ですか?
提案を急ぐか理解を優先するかの違いです。聞ける営業は顧客理解を深めてから提案します。
聞けない営業は課題を十分に把握する前に提案へ進みます。
営業で沈黙が発生すると不安になりますが問題ありませんか?
問題ありません。顧客が考えている時間である可能性が高いからです。
優秀な営業ほど沈黙を恐れず相手の思考を待ちます。
営業マネージャーはどのように改善を進めればよいですか?
商談録音を確認することをおすすめします。営業担当者がどれだけ話しているかを把握できます。
質問の質や顧客理解の深さも客観的に評価できます。
商談でどれくらい顧客に話してもらうべきですか?
業界や商材によって異なります。ただし初回商談では顧客の発話量が営業担当者を上回る状態が理想です。
顧客理解を優先することで提案精度も高まります。
聞く力を鍛えるためにすぐ実践できる方法はありますか?
顧客の発言に対してすぐ提案しないことです。まずは「なぜそうなっているのですか?」と背景を確認してみてください。
それだけでも会話の深さは大きく変わります。
聞ける営業になるとどのようなメリットがありますか?
顧客との信頼関係が深まります。提案内容の納得感が高まります。
価格競争に巻き込まれにくくなり受注率向上も期待できます。