営業ツール改善が進まない理由と、最初にやるべきこと
「営業ツール、ちゃんと整備したいんだけどさ…時間がなくて⋯」
このセリフを聞いたことが営業に関わる方であればきっとあるはずです。(もしくは、言ったことがあるのではないでしょうか)
営業あるあるだと思うのですが、このように営業ツール改善が進まない最大の理由は・・・
どこから手をつけていいか分からない
からが大半だと僕は思っています。
そして、そのような状況でありがちなのが次のような対応です。
- とりあえず提案書をかっこよくする
- テンプレ資料を増やしてみる
- 営業メールをちょっと整える
…いずれも悪くはないのです。
しかし、どれもなんとなくの改善です。
例えるなら、体調が悪いのにサプリだけ増やしている状態です。
いや、まず医者に診断してもらおうよって話ですよね。。。
営業も同じです。
最初の一歩は「ツール作り」ではありません。
営業プロセスの分解です。

営業プロセスを分解すると、課題は一気に見える
「ウチの営業、なんかうまくいってないんだよなぁ」
こういったケースが意外と危険です。
というのも「なんか」と言っている時点で、原因が特定できていないからです。
ではどうするのか!?
まずは営業の流れをバラバラに分解します。
よくある営業プロセスの分解例
例えば、営業プロセスは次のように分けられます。
- リード獲得
- アポ取得
- 初回商談
- 提案
- クロージング
- 受注
こう分解してみると、一気に「どこで詰まっていそうか」が考えやすくなりませんか?
さらに一歩踏み込んでみると、こんな見方ができます。
- アポは取れているけど商談化しない
- 商談は多いけど提案に進まない
- 提案しているのに決まらない
いずれも全て「別の(異なる営業プロセスの)問題」です。
にもかかわらず、一括りにして「営業が弱い」と言ってしまうと、改善の方向がズレていきます。
営業プロセスを分解する意味はココにあります。
問題を「ちゃんと問題にする」ための作業なのです。

商談進展率を測らない営業改善は、ほぼ勘に頼っている
プロセスを分解したら、次にやるべきこと・・・
それが「進展率を測る」です。
進展率とは何か?
進展率とは、ある営業プロセスから次の営業プロセスに進んだ割合のことです。
例えば、次のような数字を算出することです。
- アポから商談になった割合
- 商談から提案に進んだ割合
- 提案から受注した割合
進展率を数字で出す、これが初手です。
これがめちゃくちゃ重要です。
なぜかというと、数字がない営業改善は、ほぼ「勘」だからです。
例えば、こんな会話が皆さんの会社であるならば少し注意が必要です。
「最近、商談の質落ちてない?」
「いや、そんなことないと思いますけど…」
どっちも根拠ゼロですよね。
でも進展率というデータがあれば、次のような会話になるはずです。
「先月は商談から提案への進展率が60%だったけど、今月は40%に落ちています」
議論せずとも事実をデータから掴めます。
このような会話が出来るようになったら原因分析フェーズに入れます。
受注率だけ見ている営業は危険
もう少し突っ込んだ話をすると「受注率だけ見ている営業」も結構危険だと僕は考えてます。
なぜなら、途中のプロセスが全くダメでも本質に気づけないからです。
例えば・・・
・受注率は高い → 一見、優秀そうです。
・提案数が実は極端に少ない → めちゃくちゃ機会損失している可能性アリ
このように重要なのは、プロセスごとの進展率を見ることなんです。

データがないと改善できない:SFA活用の現実的なすすめ
進展率の話をすると必ず出てくる話(反論)があります。
「でも、進展率のデータ取るのって大変じゃない?」
はい、実際その通りです・・・。
Excelでやろうとすると、だいたい途中で頓挫しがちです。
- 入力されない
- 更新されない
- 誰も見ない
上の3つ、いずれかで頓挫してしまったり、たいていが三拍子揃ってしまって、いつの間にかデータを取ることをやめてしまいます。
SFAとは営業の記録と分析を助けるツール
そこで出てくるのがSFAです。
※弊社がSFAメーカーだからというポジショントークではなく・・・。
SFAとは営業支援ツールのことで、
ざっくりと言えば、営業活動の記録や分析を助けてくれるツールです。
SFAを使うことで、次のようなことがしやすくなります。
- 商談数を集計する
- 商談ステータスを管理する
- プロセスごとの進展率を見る
- 個人別・チーム別の成果を比較する
- 受注率や失注理由を確認する
つまり、「頑張って集計」から「自然と見える」状態に近づけるわけです。
もちろん、SFAは導入すればすべて解決する魔法の杖ではありません。
そんな超便利ツールが存在するのであれば、たぶん世の中の全ての企業の営業部長が全員すでに利用しているはずです。
SFAでの、よくある失敗パターンは次の通りです。
- 高機能すぎて誰も使わない
- 入力項目が多すぎて嫌われる
- 分析しないまま放置される
なので、もしこの記事をご覧いただき、SFAを導入してみようかな・・や
ちょうどSFAの導入を考えていたという方は、まずシンプルな運用を目指してください。
- 案件数
- 商談ステータス
- 受注可否
- 失注理由
- 次回アクション
このくらいの情報を集めることから始めましょう。
データは「完璧」より「継続」が正義です。
営業ツール改善は「弱いプロセス」から手をつける
さて、ここまで来たら(ここまでの準備が整ったら)ようやく改善です。
改善のポイントは明確で・・・
一番弱いプロセスから手をつける
です。
例えば、次のような営業データがあったとします。
- アポから商談:80%
- 商談から提案:30%
- 提案から受注:50%
この場合、どこを改善すべきでしょうか。
そう、
商談から提案の部分です。
ここでやるべき営業ツール改善は、例えば次のようなものです。
- ヒアリングシートの整備
- 商談トークスクリプトの作成
- 課題整理フォーマットの導入
- 商談後フォローメールのテンプレート化
逆にテコ入れしても効果が薄そうなのは、提案書です。
だって、そもそも提案まで進んでいないのですから。
受注数や受注率が低い場合、意外とやりがちなのがこのパターンで、
「提案書をもっとかっこよくしよう!」
と号令をかけてしまうのですが、その前に提案まで行っていないよね?ということが
分かっていれば適切な改善アプローチをすることが可能です。
改善は常に、ボトルネックに対して打つものです。
局所改善と全体最適をセットで考える
ただし、ひとつ注意点があります。
弱いプロセスだけを見すぎると、全体のバランスを崩すことがあります。
例えば、アポ数だけを増やした結果、質の低い商談が増えて、営業担当が疲弊してしまう・・・
これでは改善というより、営業担当の効率ダウンになりかねません。
大事なのは、進展率を見ながら、全体最適を考慮して局所改善を行うことです。
つまり、「ここを良くしたら、次のプロセスにどんな影響が出るか?」まで見る必要があります。
トップ営業を真似るな:目指すべきは「全体の底上げ」
営業改善というと、よく次のように
「トップ営業のやり方を共有しよう!」
こんなアプローチが取られます。
一見正しそうですが、実は落とし穴があります。
トップ営業って、だいたい再現性が低いのです。
- センスがある
- 経験値が高い
- 人間力がバグっている
- 顧客との距離感の取り方が絶妙
トップ営業の手法や振る舞いは職人芸で、簡単には真似することはできません。
もちろん、トップ営業から学ぶことはたくさんあります。
でも、「あの人みたいにやれ」は、だいたい無茶ぶりで「あの人だから出来る」のです。
※極端に言えば野球少年に対して「大谷翔平みたいに打って投げて」と指導するようなものです。
営業ツールの役割は普通の営業を勝たせること
なので営業チーム、営業組織として目指すべきは別です。
営業全体の最低ラインを引き上げること
これなのです。
そのためには営業ツールを活用する必要があります。
例えば・・・
- 誰でも同じ品質でヒアリングできるシート
- 誰でも一定レベルの提案ができるテンプレート
- 次に何をするか分かるチェックリスト
- 顧客の反応別に使えるフォローメール文面
これらが揃うと「普通の営業パーソン」がちゃんと成果を出せるようになります。
組織として強いのは、圧倒的にこちらの最低ラインをツールで押し上げている方です。
トップ営業をさらに強くすることも大事ですが、それ以上に、チーム全体の水準を上げることが営業組織の成果に直結します。

営業が動けない瞬間をなくすのがツールの役割
ここまではプロセスを分解して、ボトルネックを営業ツールで改善していこう・・・
という話をしましたが、ボトルネック改善以外にもツールを改善したり、
新たに投入するシーンがあります。
それが
「営業パーソンの手が止まる瞬間」
です。
- 次に何をすればいいか分からない
- どんな資料を出せばいいか迷う
- 顧客にどう返せばいいか悩む
- 上司に確認しないと動けない
- 過去の似た案件を探して時間が溶ける
この「停止時間」はとっっっっても無駄です。
しかも怖いのは、本人は止まっているつもりがないことです。
「ちょっと確認していました」
「資料を探していました」
「メール文面を考えていました」
もちろん必要な時間ではあります。本人にサボっている意識は当然ありません。
でも、毎回ゼロから考えていたり迷っていたら、営業活動はどんどん重く=非効率になります。
営業ツールの役割はシンプルです。
営業パーソンの迷いをなくして、次のアクションを明確にすること。
これが、ボトルネック改善に加えてサブ目的なのです。
営業ツールでアクション率を上げる
例えば、次のようなツールがあるだけで、営業は動きやすくなります。
- フェーズごとのチェックリスト
- 状況別のメールテンプレート
- 商談後のフォロー台本
- 提案前の確認シート
- 失注理由の記録フォーマット
こういったツールがあると「あ、次はこれをやればいいのか」と判断しやすくなります。
結果として、アクション量が増えます。
営業は確率論だと僕は考えてます。
動いた回数が増えれば、当然、成果につながる可能性も高くなります。
もちろん、むやみに動けばいいわけではありません。
大事なのは、顧客にとって意味のあるアクションを、迷わず実行できる状態を作ることです。
実は最重要:アポ取得から最適化せよ
最後に、営業ツールの改善にあたって見落としてはいけない視点を述べます。
それが、アポ取得です。
つまり、初回商談に入る前のプロセスです。
なぜアポ取得を念頭に置いて営業ツールの改善をしなければいけないかというと・・
入り口の質が、その後すべてに影響するからです。
例えば、なんとなく取ったアポは、商談も浅くなりがちです。
課題が曖昧なまま話が進み
「で、結局何に困っているんでしたっけ?」
という迷子状態の商談になります。
一方で、課題が明確なアポは違います。
商談の入り口から話が深くなり、提案にも進みやすくなります。
・なんとなく取ったアポ → 商談が浅い → 提案に進まない
・課題が明確なアポ → 商談が深い → 受注しやすい
このように、商談の難易度が変わってきてしまうのです。
商談前の設計が後工程を楽にする
多くの会社でやりがちな改善策というか号令が・・・
「商談が弱い!」
です。
もちろん商談力も大事です。
でも、そもそもアポの質が低ければ、商談担当はかなり厳しい戦いを強いられます。
ここで整備すべき営業ツールは、次のようなものです。
- アポ取得時のヒアリング項目
- 電話・メールのトークスクリプト
- 初回商談前の事前確認テンプレート
- 顧客課題を引き出す質問リスト
- 見込み度合いを判断する基準表
つまり、商談前の設計です。
ここを整えるだけで、後工程がかなり楽になります。
繰り返しになりますが、営業ツール改善というと、提案書や商談資料に目が行きがちです。
でも本当は、初回訪問前のアポ取り段階から最適化していくべきです。
入り口が整えば、商談も提案もクロージングも、かなり戦いやすくなります。
まとめ:進展率を軸に「全体最適」で営業ツールを磨く
今回の話をまとめます。
営業ツール改善でやるべきことは・・・
- 営業プロセスを分解する
- プロセスごとの進展率を測る
- 弱い部分を特定する
- その弱点に対して営業ツールを整備する
- 改善後の進展率や受注率を再確認する
これを繰り返すだけです。
重要なのは、「感覚」ではなく「データ」で判断することです。
そして、もうひとつ、改善は一気にやらなくて大丈夫です。
- 小さく改善する
- 数字で確認する
- また改善する
このサイクルを回す方が、結果的に早く成果につながります。
営業ツールは作ることが目的ではありません。
営業の進展率を上げるための手段です。
ここを見失わなければ、改善の方向で迷うことはなくなります。
まずは、皆さんの会社の営業プロセスを一度、分解されてみてはいかがでしょうか!?
よくある質問(FAQ)
営業ツール改善はどこから手をつけるべきですか?
営業プロセスを分解することから始めるのが最も効果的です。営業の流れを細かく分けることで、どこに課題があるかが明確になります。 ツール作成よりも先に現状把握を行うことが重要です。
商談進展率とは何ですか?
商談進展率とは、ある営業プロセスから次のプロセスに進んだ割合のことです。例えば、商談から提案に進んだ割合などを指します。 営業のどこにボトルネックがあるかを把握するための重要な指標です。
受注率だけを見ていれば問題ないのでは?
受注率だけでは営業全体の課題は見えません。途中のプロセスで止まっている場合でも気づけないためです。
プロセスごとの進展率を見ることで、より正確な改善が可能になります。
SFAは必ず導入すべきですか?
必須ではありませんが、データ管理と分析の効率は大きく向上します。Excelでも対応可能ですが、運用負荷が高くなりやすいです。
継続的にデータを活用するならSFAの導入は有効な選択肢です。
どの営業ツールから改善すればいいですか?
最も進展率が低いプロセスに関わるツールから改善すべきです。全体ではなくボトルネックに集中することが成果につながります。
例えば商談から提案への進展率が低いならヒアリングツールを見直します。
トップ営業のやり方を真似すれば解決しませんか?
トップ営業の手法は再現性が低い場合が多いです。個人の経験やスキルに依存していることが多いためです。
組織としては誰でも一定の成果を出せる仕組みづくりが重要です。
営業ツールはどの程度まで作り込むべきですか?
最初から完璧を目指す必要はありません。最低限の項目で運用を開始し、改善を繰り返すことが重要です。
使われ続けることが最優先です。
営業が動けない状態とは具体的にどんな状況ですか?
次に何をすればいいか分からない状態を指します。資料や対応方法に迷って手が止まるケースが多いです。
営業ツールはその迷いをなくすために存在します。
アポ取得段階の改善はなぜ重要なのですか?
初回接点の質がその後の商談すべてに影響するためです。課題が明確なアポほど商談がスムーズに進みます。
結果として提案や受注にもつながりやすくなります。
営業ツール改善はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
定期的に進展率を確認しながら見直すことが重要です。月次や四半期ごとのサイクルで改善するのが現実的です。
データに基づいて継続的に調整していきましょう。